第2章 エーゲ海の遺跡群 〜古代イオニアの都市〜

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§アレクサンダーの夢 チャナッカレ
§トロイに漂う無花果の香り トロイ
§エーゲ海を見下ろすアクロポリス アソス











 肘に手編みのレースの入った籠を抱えた美しい少女が、こちらを見て立っていた。両手にもレースを持っていて、どうやらそれを売る気らしい。適当にあしらいながら、先を急ごうとしたが、レースを差し出しながら、「3$、3$」と、いつまでも坂を追いかけてくる。途中で彼女のおばあちゃんと思しき人が自分の家の前で編み物をしながら、彼女に何か指示を出している。どうやら僕のカメラを見て、「写真を撮らせてやって、その代わりに買ってもらえ」とでも言っているようだ。彼女は小町娘というわけだ。観光用のスタイルをしていても、いかにも素人っぽくてかわいらしい。
(p66)
レースを売る少女
 アソスの遺跡で、土産物のレースを売る少女。











 アソスの町は想像したよりずっとこぢんまりとしていた。小さな港町にプライベートビーチがくっついているといったところだ。桟橋に立つと、船をくくりつける鉄の杭が、永年の間に荒々しく削られていて、海に暮らす人々の生活を感じさせる。霞のかかったエメラルドグリーンの海面には、巨大なレスボス島が静かに浮かび上がっている。なぜか水面にはほとんど波がない。沖から帰ってきたおもちゃのような小船が、ポンポンと小気味のよい音を立てながら、滑るように港に入ってきた。
(p69)
アソスの港
 アソスの港。永年にわたって使い込まれた桟橋の杭は、エーゲ海の港町の歴史を静かに物語っていた。
§古代の夕陽 ベルガマ

















  ベルガマの街を見下ろすアクロポリスの正面側は切り立った崖に堅牢な城壁がそそり立っていて、繊細な内部の建築とは対照的に「モナ・リザ」の背景のような荘厳さがある。
(p71-72)
古代ベルガモンの城壁
 古代ベルガモンの城壁。このヘレニズム都市の洗練には、かつてローマのカエサルも驚嘆したという。
§大理石のハマム セルチュク
§アルテミスを擁したイオニアの有力都市 エフェソス











 最大の見物の一つである図書館は、アレクサンドリアやペルガモンのものと並んで、当時、三大図書館の一つに数えられていたらしい。一刀彫の巨大な柱に支えられ、青空をバックにそびえたつ建築は、胸がすくようなスケール感がある。洗練されたデザインで、設計者の独創性が伝わってくる。
(p88)
エフェソスの図書館
 エフェソスの図書館。一刀彫の大理石柱が支える見事な造形には胸のすくようなダイナミズムが感じられる。
§ただ食いおじさん クシャダス
§古代都市の夢のあと プリエネ,ミレトス,ディディマ











 アレクサンダー大王は、ミレトス攻略の際、このプリエネに何度か来ている。プリエネの最盛期は前3世紀で、このあたりでもっとも有力な都市国家だったようだ。だが、港に流れ込むメンデレス川の運ぶ土砂により、海岸線が次第に遠ざかり、次第に衰退して行ったらしい。恐らく、眼下に広がる畑は、かつては海だったのだろう。
(p102-103)
プリエネ遺跡
 崩れ落ちた大理石の柱が転がるプリエネ遺跡。眼下に広がる畑はかつては海だった。

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