エピローグ














  僕は旅行中、トルコ人の典型的な顔はどういうものかとずっと考えていた。
 トルコは世界でも類を見ない多様な歴史が積み重ねられた国だ。僕は物理屋の習性で、本能的にそこに何か統一的なトルコを見出そうとした。これほど多様な歴史と国土を目の当たりにして、その多様さをどうやって受け入れればよいのかわからなかったのである。トルコがどんな国なのか、わかりやすい答えを探していたのかもしれない。
 結局、トルコ人の典型的な顔はわからなかった。しかしその代わりに、この旅以降、僕の胸の中にはトルコの地に関わる壮大な歴史が、現在進行形で生き生きと息づいているのである。
 この旅の問、S社を退職した不安がずっと心の底にあった。S社を辞めたことは明らかに僕の人生における大きな転機だった。それがその後どのような意味を持ってくるのか、その時点では知りようもなかった。
 今、そうした思いで振り返ると、あの旅はまさにその後の白分の人生の新たな出発点だった。僕は敷かれたレールをはずれ、人生で初めて白分の足で歩きはじめることになったのである。そういう意味で、僕の旅行は今も続いている。
(p289)
バルクル・ギョル・ジャミー

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