第5章 コンヤ 〜イスラムの街〜

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§イスラムの家












 店の奥では、少年たちがキリムの修理を行っていた。ミフリでは新品のキリムだけでなく、数十年前から、ものによっては100年以上前のいわゆるアンティークキリムを取り扱っている。それらは、破れたり汚れたりしている部分があるので、そうした破損箇所を修理する必要があるのだ。パターンが複雑で、しかも相当の年月を経ているキリムの糸をほぐし、再び跡がわからないように織りなおすのは相当のノウハウと根気が要る作業だ。小さい頃からこうして修行を続けなければ、なかなか一人前の修理職人にはなれないのだろう。カメラを向けると、はにかむ少年たちのしぐさはいかにも素朴である。世代を超えて伝統を守っていくことが本来自然で大切なことであることを改めて感じずにはいられなかった。
(p159-160)
キリム修理工房
 コンヤの「ミフリ」のキリム修理工房。古いキリムの痛んだ箇所を、跡がわからないように織り直して行く。













 イスラムの風習だろうが、一緒に食事をしたのは、エミン君とバーバ(お父さん)だけだ。たまにお母さんが料理を運んできてくれるついでに一言二言話していくが、エミン君の奥さんなどは全く姿を見せない。バーバは相変わらず怖そうな顔をしている。後ろにかけてある立派なカーペットの絵を指して「どこですか」と聞いたら、声を荒げて、「メッカだ!」と言われてしまった(後でわかったが、接尾語の「だ」は日本語の「です」の意味だった)。しかし彼がけっして怒っているのではないことはすぐにわかった。それどころか、ずいぶん気を使ってくれている。ことあるごとに、お母さんやエミン君に細かい指示を出しているのだ。それは、わかるのだが、彼らとしても、僕のようなどこの馬の骨かわからない者が突如として現れ、一緒に飯を食っているのだから、どう対応していいか戸惑っていることも確かだろう。
(p163)
オズデミルさんとエミン君
 夕食の食卓を前にしたバーバ(オズデミルさん)と息子のエミン君。温かさのこもった料理はどれも非常においしかった。
§セルジュク朝の古都
§平原のロカンタ

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