「100円ショップウォッチング」  杉山康成  (随筆通信 月46より)
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100円ショップウォッチング
杉山康成

 最近の100円ショップの充実振りには目をみはるものがある。文房具や台所用品などはもとより、自転車関連やガーデニング用品、防災グッズなど、何でもある。先日は、カメのエサも見つけた。あまり買ったことはないが、地図や文庫本、CDや英語の教材、おもちゃなども着実に品揃えが増えている。

 10年ほど前に100円ショップが登場した頃は、品揃えは主に景品でもらうアイデア商品のようなものばかりで、品質も粗悪だった。安いからといって買ってきても、結局は使えず、100円の限界を感じたものだ。しかし、最近はサイズもデザインも実用に耐えるものになった。5mの金属製メジャーや自転車用のLEDライトなども、よく100円で出来るものだと感心する。元来得意のアイデア商品も健在である。台所用のゴミ箱には、スーパーのレジ袋を引っ掛けられる爪がついているし、水拭きで何でも取れる新素材の雑巾なども、なかなかの優れ物である。

 もちろん、必要なもの全てが100円ショップで揃うわけではない。特に、「良いものを永く」使う場合には不向きだ。ただ、普段の生活には、あれば便利なのだが、ないならないなりに済んでしまうものが意外にたくさんある。いちいち買い揃えると、結構、お金もかかるので、つい不便なまま過ごしている。そうしたものこそ、100円ショップの出番である。言ってみれば、生活をスムーズにするための潤滑油なのである。

 ところで、100円という低価格を可能にしたのは、なんと言っても中国をはじめとする生産の海外シフトである。しかし、海外で作れば誰でも安くできるわけではない。100円ショップヘの納品価格は35円程度であると言われている。その中には、製品本体だけでなく、包装コスト、現地の工場から日本の倉庫までの運賃、通関などの輸出入に伴う費用が含まれる。そしてさらに、何よりも検品コストが必要となる。

 確かに中国では、一袋100本入ったボールペンが100円で手に入るかもしれないが、そのうち何割かは、すぐに書けなくなってしまう。日本の品質基準をクリアするためには、必ず厳しい検品が必要である。しかし、品質に対する考え方が全く違う現地の人たちに任せても、なかなか品質の向上は難しい。場合によっては、日本人自ら、検品の陣頭指揮を執らざるを得ないだろう。しかし、それではコストは抑えられない。100円という制約の下で品質をクリアすることは、並大抵のことではない。

 今や中国人自身が100円ショップで買い物をして帰るという。中国製にもかかわらず、日本で買ったほうがコストパフォーマンスが高いのである。100円ショップの製品は、まさに日本人がこの10年間に海外と協力して達成したコストダウンの結晶なのである。

(東京都 会社社長・理学博士)
E-mail:ebiman@kb3.so-net.ne.jp HP:http://ebiman.fc2web.com/

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随筆通信 月 2006年10月号/通巻46号

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