第7章 東方へ 〜アラブの匂い〜

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§カフラマン・マラッシュのアイスクリーム ネムルト・ダー










 2時頃、辺鄙な村のロカンタで昼食を摂った。道もろくろく舗装されておらず埃っぽい。かなり田舎に来たという感じだ。観光客相手のドライブインだが、蝿もぶんぶん飛んでいて、神経質になっていては何も食べられない。僕が店内の写真を撮っていると、店の店員達の注目を集め、皆で撮ってくれとぞろぞろ人が集まってきた。この辺りでは写真を撮られる機会も少ないのか、皆気合が入っている。
(p223)
ロカンタの面々
 昼食を食べたロカンタ(食堂)の面々。写真を撮っていると、皆が集まってきた。
§ネムルト・ダーの夜明け ネムルト・ダー,シャンリ・ウルファ











 5時頃に日の出となった。陽が昇るにつれて、空は見る見る真っ青になっていく。それまで灰色の世界に閉じ込められていた巨像たちの顔は、にわかに生気を帯び、刻々と表情を変えはじめた。その顔は宗教というよりは洗練された現代アートのショウである。網の目状に鋭くひび割れた石像たちの顔は、2000年間毎日繰り返されてきた昼夜の極端な寒暖の差を物語っている。
(p227)
アポロン像の頭部
 朝日に照らされるネムルト・ダー山頂のアポロン像の頭部。ネムルトの神々の目覚めのショーは、2000年を経た今も毎日繰り返される。
§アラブの熱 シャンリウルファ










 路地を写真を撮りながら歩いていると、どんどん人が集まってきて、「ウェアーユーフロム」「ワッチャネーム」と声をかけて来る。それに僕が答えると、やけに喜ぶので不思議だったが、しばらくすると彼らがなぜそれほど喜んでいるのかがわかった。彼らは文法や単語の意味をわかって声を上げているのではない。誰かに教えてもらったのをオウムのように真似してそのまま発音しているだけなのだ。「ハロー」と同じように、一つの言葉なのである。だから、僕が答えると、適当なでたらめに僕が反応したことを面白がっているのだ。もっとも、そんな連中とは別に、父親から、仕事に使う英語を教えてもらっているまじめな子供もいた。
(p233)
少年たち
 父親に英語を習う少年たち。ほほえましい光景だ。

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