ネットオークションの楽しみ 杉山康成 (随筆通信 月70より)
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ネットオークションの楽しみ
杉山康成

ネットオークションはもともとフリーマーケットのインターネット版である。しかし、何しろネットの利用者は全国に広がっているので、不要な物が必要な人と出会う確率は圧倒的に高い。商品の種類も豊富なので、最近は日常的な買い物に利用する人も少なくない。

オークションでは、当然、人気のある商品は高くなる。デジカメなどの人気家電やブランド品などは、量販店やブランド品専門店などに比べ、あまり割安とはいえない。逆に一般に人気のないものの中に面白いものがある。フィルム式カメラなどもその一つだ。デジカメの普及ですっかり人気がなくなり、物によってはタダ同然である。確かにデジカメは手軽に撮れるが、データをパソコンに保存してそれっきりになりがちである。フィルム写真では、現像するのが当たり前で、出来上がった写真を楽しむ機会はずっと多い。画質的にもまだデジカメより優れるフィルム式カメラは、狙い目商品の一つなのである。

ネットオークションでは、入札に際して実際に商品を手にとって確かめることはできない。出品者がネット上にアップした数枚の写真と商品説明だけが頼りである。従って出品者の信用が重要なポイントとなる。そのため、落札者は落札後、出品者を評価することになっている。この評価内容は公開され、次の入札者が参考にするので、出品者はできるだけ誠実に対応しなければならなくなる。評価システムはオークションにおける信用の要なのだ。

オークションに出品しているのは個人だけではない。最近ではオークションの巨大な市場を狙ったオークションストアと呼ばれる専業業者も増えてきた。こうしたストアのなかには、驚くべき安さで大量のものを出品しているものがいる。ネットオークションでは、店舗が不要で、営業経費もゼロである。その分安くできるのは理解できるが、材料費さえ出そうもない商品がいくらでも出回っている。いったいどうなっているのだろうか。

それらの商品の多くは、倒産した企業や個人の動産競売品である。ただし、それは競売で落札されたものではない。競売品を落札すると、いらないガラクタも一緒に引き取らなければならず、その処分にコストがかかる。お金を払って落札していたのでは合わない。そこで彼らは、競売で落札されなかったものを、逆に処分費をもらって引き取ってくるのである。つまりタダどころか、お金をもらって仕入れているのだ。同時に彼らは、鉄くずなどを売りさばくルートも持っていて、オークションに出せない物も効率よくお金に換えているのである。

マーケットリサーチと宣伝広告が支配する現代の消費市場は、売る側の論理に支配され、掘り出し物に出会う機会など皆無である。信頼性に不安があるにもかかわらずネットオークションが賑わうのは、思わぬ商品に出くわす期待とオークション独特の駆け引きに、買い物本来の醍醐味を感じるからではないだろうか。

 (東京都 会社社長 理学博士)
E-mail:ebiman@kb3.so-net.ne.jp HP:http://ebiman.fc2web.com/

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随筆通信 月 2008年 10月号/通巻70号

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