ライカCLの愉しみ 杉山康成 (随筆通信 月79より)
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ライカCLの愉しみ
杉山康成

先日、中古でライカCLを買った。カメラはすでに20台以上あるが、それでもまた欲しくなるのは、撮る際の感性がカメラによってかなり変わってくるからだ。

ライカは、カメラ業界のベンツともいえるドイツの高級カメラブランドである。かつてカメラは、一枚撮るごとにガラス乾板フィルムをセットし直さなければならず、大型で機動性も悪かった。ライカの技術者オスカー・バルナックは、当時、映画で使われていた35mm幅のロールフィルムを利用することにより、一度の装填で連続撮影ができ、かつ、簡単に持ち歩ける画期的な小型カメラを発明したのである。1925年のことだ。

その後、そのバルナック型ライカは改良を加えられて行くが、次第に設計上の欠点が目立つようになった。その永年の問題を一挙に解決すべく、設計を刷新して1953年に登場したのが、カメラ史上に残る名機、ライカM3である。そのファインダーは非常にクリアで、写真家の創作意欲を一気に駆り立てた。ピントの精度も高かく、ワンタッチでレンズ交換が行えるバヨネット式マウントを備えていた。高いレンズ性能と相まって、ライカは最高級カメラの地位を不動のものとしたのである。M3はその後、M2、M4、M5と改良を加え、シリーズはM型ライカと呼ばれた。1973年発売のライカCLはそのM5の廉価版だ。

M型ライカは、いわゆる一眼レフカメラではなく、コンパクトカメラと同様のレンジファインダーカメラである。一眼レフでは、レンズから入ってきた光をフィルムの手前でミラーで反射してファインダーに持って来る。従って、ファインダーからはレンズを通した画像を直接見ることができボケ具合も確認できる。シャッターを切るとミラーが跳ね上がり、光はフィルムのほうに行く。ファインダーから見ていた画像が、そのままフィルムに焼き付けられるのである。一方、レンジファインダーでは、ファインダーに来る光とレンズに入る光は別であり、ファインダーから見た画像と実際に写る画像では構図的にも画質的にもどうしてもズレが生じる。

それが原因で、ライカは次第に日本製一眼レフカメラに圧され、市場の主流から消えていくことになる。僕自身もM型ライカを持ってはいたが、後にライカが出した一眼レフカメラ、R型ライカに乗り換え、次第にそちらがメイン機種になっていったのである。

しかし、M型ライカで撮った写真とR型で撮った写真とでは、なんともいえない雰囲気の違いがある。一眼レフでは見たとおりが写るので、構図決めは厳格だ。無駄なものは排除し、狙った絵を逃さず捕えるのである。しかしレンジファインダーでは被写体との間に独特の距離がある。むしろ被写体を圧迫せず、その時の雰囲気をさりげなく切り取っていく感覚なのだ。他のM型に比べて一回り小さいCLでは圧迫感はさらに少ない。

早速、CLを首からぶら下げ、街に繰り出してると、その肩の力が抜けたスナップは、空気をも写すと言われるライカレンズ独特の透明感のなかで、なかなかいい感じである。

 (東京都 会社社長 理学博士)
E-mail:ebiman@kb3.so-net.ne.jp HP:http://ebiman.fc2web.com/

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随筆通信 月 2009年 7月号/通巻79号

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